ウィークリー・メッセージ 20172

 

2017年 主の公現の主日

 

桜町教会担当司祭  松浦 信行

 

 昔、はテレビのコマーシャルで、耳が不自由なおじいちゃんが、いつもは周りの人の話が聞こえなくているのに、自分の悪口を言われたとたんに「なに?」と聞き返すものがありました。
 このようなことはわたしたちの生活の中に一杯あります。中島みゆきの主題歌で有名だったNHKの番組「プロジェクトX」で、こんな話がありました。

 鉄道の駅で自動改札口の初めは、阪急の千里中央駅だそうです。自動改札口の試作品が色々と作られ、でも、切符の読み取りが上手くいかず、実用化をどのようにしようかと悩んでいる中、開発担当者は気分転換で、近くの野原をハイキングしたのだそうです。
そのとき何気なく見つめていた、普段の風景、小川のせせらぎが一つのヒントになりました。小川に落葉が浮かんでいると、川の狭くなった瀬の部分で、葉っぱは同じ方向を向くことに気が付きました。

「これだ!」と開発担当者は考えました。自動改札機の切符の入り口は広くなっていても徐々に狭くして、切符の読み取り部分で小川の瀬のようにしていけば、何時も同じ方向に切符は向き、読み取りが正確になる、そう考え実用に一歩踏み出したのだそうです。

 普段何気なく見つめている出来事が、自分に関係ないときは見過ごしてしまう。でも、一つ一つの出来事が、自分の現実に関係すると感じたとき、その現実が宝になっていくこのことを表していきます。

 今日の公現の主日のメッセージもこのように読み取れます。主イエスキリストの誕生が、わたしたちの実生活に関係ないときは何のインパクトもわたしたちに与えない。しかし、その主イエスキリストにわたしたちの生活が出会ったときに、始めて主の誕生の素晴らしさがわたしに実感できることになります。

 東方の博士たちの努力は、自分たちに関係する大切なものとしての出来事として、捉えられ、逆にエルサレムの人々は、自分に関係ないものとして主の降誕がさもなかったかのように無視する、この聖書のメッセージは、今の時代にも通用するメッセージだと思います。

 

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