灰の水曜日ミサ説教
2011年3月9日
於:桜町教会
四旬節に当たり,初代教会から教会が守ってきたことは3つです。
その一つは,祈りです。四旬節の中で祈りを深める。四旬節の主日と平日のミサの朗読が連続してあります。これを連続して読んでいきますと,キリストの死と復活という秘儀がよく理解できるようになっています。祈りを深める,あるいは聖書の味わいを深めていくということが一つです。
それから二つ目,苦行あるいは節制という言葉を使っています。これはユダヤの伝統から来ていて,節制するということが,最近あまりなくなっているだけに,せめて灰の水曜日と聖金曜日はきちっと断食を守るようにしたいものです。できることでしたら,金曜日,水曜日には食事を少し抑えあるいは嗜好のものを少し控えるという努力をすることも大事でしょう。
先ほどの祈りというところで言い忘れましたが,沈黙の中の祈りを四旬節は強調しています。いつもテレビと音楽がかけられているのではなく,少し静かな時を持つということを考えてはいかがでしょうか。
苦行と節制ということも,自分の生活そのものを考え直してみるためには良いことです。それは各自が自分で考えるべき事です。食べ過ぎでしたら少し減らしたら良いし,飲み過ぎでしたら少し減らしたら良いし,吸い過ぎでしたら量を減らしてみるとか,自分で決めて苦行してみることです。
それから三つ目,初代教会からお布施ということが言われています。寄付するということ。あるいは寄付というのは別の言葉で言えば,愛徳の業を行うということになります。ただ犠牲をするだけではなくて,犠牲して,例えばコーラの一本を飲まないで貯めたお金を寄付するのです。必要な人にあげるという伝統を教会は持っています。四旬節では愛の献金という習慣があります。小さな自分の貯金箱みたいなものを持って,一本のコーラ,一本のたばこをやめた,そのお金を入れていく,こんなところに意義があるのです。
こう考えますと教会は知恵があると思います。こういうことを通して四旬節をいかに過ごすかということを私たちに具体的に勧めるのが教会の知恵です。
※司教様チェック済み