2005年司教年頭書簡
ご挨拶 −就任して半年−
新年のお慶びを申し上げます。神様の恵みが皆様の上に豊かにありますように。高松教区においては、私の着座以来一つの時代を劃す時代が訪れています。ある意味で昔を引きずってはいけないということと、歴史を踏まえた刷新という二つの課題を抱えています。どちらにしても教皇様の意向、日木司教団の意向は、高松教区が一致に向かうようにとのことです。私の着座にあたり、特別にこのことが教皇様の書簡、または日本司教団の意向として私に示されました。従って私にとって、ひいては高松教区にとって最大の課題は「一致への歩み」ということです。
そのためにどうすればよいのでしょうか。司教一人に任せていてもとても解決できることではありません。成熟した対話が必要でしょう。勇気ある譲歩も必要でしょう。大切なのは神の前で今一度今の教区の再生のためにはどうすれば良いのかを司教と共に考えて頂くことです。「神の前で」と「司教と共に」ということが大切なポイントです。信仰という観点から一致を考える必要があります。徒に感情に左右されて行動してはいけません。同様に混乱を単に歴史的必然などとうそぶいてはいけません。冷静に神の視点に立って、今何が必要なのかを見極める作業をすることです。司教はその先頭に立たないといけないでしょう。しかし、司教個人に全てを委ね、司教一人の判断に任せるのは危険です。そのために私は司祭評議会を立ち上げることをまず最初の課題としました。同時に信徒の組織をもしっかりと立ち上げる必要性を感じています。司祭評議会が司祭と信徒の意見を吸い上げること、信徒の組織が信徒の意見を吸い上げ、それを司教と協議することで多くの問題は解決します。
後一つの課題は広報です。相互のコムニケーションがないまま、徒に憶測で行動するのは余りほめたことではありません。現代、情報開示、責任説明ということがさかんに言われています。教会においては、この点においてある種の限界があるとしても、司教が望んでいること、信徒が望んでいることがお互いに交換される必要があります。そこから何かを変えたり、修正したりすることが可能になります。幸いに信徒使徒職協議会の助けを借りて広報委員会を発足させることができました。今年から定期的に教区報が発行される予定です。
今年はドイツのケルン市におきまして世界青年大会(WYD)が開催されます。私は前回のトロント大会に仙台の青年たちと参加して、その後教区で全く新しい運動が起きたのを経験しています。青年活動というより、青年の活動を通して教区全体に活気が溢れたということです。むしろ青年活動を通して壮年、婦人が下から煽られて、重い腰をあげたというのが実情です。今年の青年大会には是非高松教区として日本司教団が主催する青年の巡礼に加わってほしいと私は望んでいます。予算措置も講じたつもりです。また参加者がいる小教区においては、物心両面で積極的に援助を頂ければと願っています。身内に該当者がいれば、是非参加するようにおすすめ下さい。ケルン大会を単発的なものにしないためには、どうしても青少年を育成するという教区の取り組みが必至です。12月の司祭評議会においても、信徒使徒職協議会においてもこの取り組みの必要性は強調され、賛同を得ることができました。青年活動の活性化の結果、司祭、修道者召命が促進されるものです。昨年の四国知牧区百周年記念ミサ中に話された岩永神父様の説教でも強調されましたが、この四国から次の教会を背負う司祭召命が出てこないといけません。いつまでも借り物の教会では今後教区は成り立っていきません。
最後になりましたが、今年の年頭書簡は教区の方針を示すものとはなっていません。私は着任して半年もならないので、それを提示する余裕を持ちませんでした。また、司教教書は司祭評議会とともに作成するという方針を同評議会で決定していますので、今年5月聖霊降臨にあわせて発行する予定です。
今年は聖体の年と決められて、全世界のカトリック教会において、聖体とミサに閉して種々の行事(聖体礼拝、行列、シンポジウ…)が企画される筈です。高松教区においても何かをしなければと思いますが、皆さんの中で良いアイディアがあれば提示してください。
2005年 元旦
高松教区司教 溝部 脩