復活節第6主日説教 ヨハネによる福音(14:15−21)
2005年5月1日
於:坂出教会
今日は復活の第六主日にあたっております。復活節の福音書を読んでおりますと、私たちは唖然とすることがあります。
それは、イエス様の復活を信じていない人だけを登場させているからです。復活節だからイエス様を信じているだろうと思うのですけど、そうではなくて信じていない人が次から次に登場してまいります。
イエス様が現れて直接に話しているのに、それに気付いても心の底から復活は信じていない、こんな人たちのことが出されてまいります。例えばマグダラのマリア、自分のイエスだと思い込んでいますので、イエスさまが現れても見えません。一緒にいた弟子たち特にペトロは墓の中に入って墓がからになっているということに気付きます。でも自分の家に閉じこもって鍵を閉めて一歩も出ません。信じていないのです。エマオの弟子たち、一緒に歩いていくイエスにエルサレムで起こった出来事を詳しく話して聞かせます。死んだことも、女たちに現れたことも話をして聞かせる。でもこの弟子たちはエルサレムを後にして去っていきます。信じてないのです。トマスにいたってはこの手で釘の跡に触れなければ信じないと言ってのけます。私たちはこの一ヶ月間こういう話ばかりを聞かされました。私たちをどこに教会はもっていきたいのでしょう。
それは、復活節と聖霊降臨祭が一つのブロックになって典礼の季節を作っているからです。すなわち、聖霊が降らなければ、イエス様の復活はわからないということを言っております。今、言った人々は皆イエス様が復活したのが迷惑なのです。復活してくれなかったら、ユダヤ人を恐れることもないし、大手を振って外を歩ける、でも復活してくれたので私は何か釘付けになったような感じになる。こういう弟子たちの姿を現しております。
先ほども言いました。復活節と聖霊降臨節が一つのブロックになって典礼は復活という意味を教えてくれております。
聖霊が降る前にイエス様はこの世を去っていきます。御昇天祭です。見えなくなって初めて復活の意味というのが分かってまいります。見えている間は見えている現象のみにとらわれまして、その奥底にある意味に気付きません。これが私たちの弱さです。
ある人が去っていったら始めてその去っていった人の意味がわかる、ということは何度も私たちは気付かされていることです。見えなくなるとその人が持っている意味と本質というのがよく見えてまいります。イエス様はどうしても去っていかないといけないのです。だから、トマスにイエス様はさとします。「見ないで信じる人は幸いである。」と。
見えない時代に、見えるようになるために上からの力、聖霊が私たちの上に降されます。そしてこの聖霊降臨とともに教会の時代が始まります。教会の時代は聖霊の力によって去っていったイエスを追い求めて行く、こういうことを指しております。
聖霊によって生かされる、これが教会の時代です。見えないからこそ、多くの疑惑や、疑いや戸惑いというのが見られることがあります。この教会でも同じでしょう。日本の教会も同じでしょう。世界の教会も同じでしょう。イエス様が見えないから、多くの疑いや、分裂がおこってまいります。その時に聖霊が降りまして、聖霊に導かれて教会は教えの本質ということに目覚めることができるのです。
教会とは目に見える神の導きの手のことを指しております。イエス様の教えについて初代教会ではいろいろな疑義が生まれました。解釈の違いが生まれました。時々人を迷わす考え方がたくさんありました。その時にイエス様の教えを正当に理解し解釈する人たちをこの世界に残してくださいました。この人たちがイエスの使徒、弟子たちということになります。そして、そのイエスの使徒の後を続けていく人たち
これがペトロの後継者教皇であり、使徒たちの後継者世界に散っている司教たちです。ペトロとその弟子たち、その仲間たちの後継者の一番大きな役割は教会がきちんとイエス様の教えを伝えるということをすることにあります。
今、私たちは新しい教皇様をいただいております今、新しく生まれ変わろうとしている教会があります。新しい時代に生きている私たちがいます。今こそ教会の中にあって、もう一度教会とは何であるか、教会の中にあって、私たちの信仰ある生き方とは何であるかをもう一度問い直してみる一番いい季節に入っております。
最後に今日のペトロの手紙を読んで終わりたいと思います。
「愛する皆さん、あなた方の抱いている希望について、説明を要求する人には、いつも弁明できるように備えていなさい。それも穏やかに、敬意を持って正しい良心で弁明するようにしなさい。」
肩 肘張らない普通の生き方、毎日の生活の中にイエス様の教えを深く染みとおらせた、穏やかなこんな生き方をわたしたちは求めていきたいものだと思っております。
※この文章は溝部司教様の校正と配布許可を受けています