ウィークリー・メッセージ 2022年7月10日

『年間第15主日』のメッセージ

西川康廣助祭


 カトリック新聞(2022.7.3)の一面に、バチカンのサンピエトロ広場で開催された一般謁見(6.15)で、教皇フランシスコが語られた講話テーマに目が留まった。教皇は、「高齢者を捨てることは、『裏切り行為』だと話した。つまり高齢者から学ぼうともせず、現代社会の使い捨て文化に従う人々は、高齢者を消し去ろうとしている。人には高齢者を世話し、その知恵を大切にする責任がり、高齢者を社会の重荷と見なしてはならないと強く訴えた。

 教皇講話はルカ福音からの引用で、ガリラヤ湖北部のカファルナム会堂近くに住んでいた、シモン・ペトロの義理の母が高熱で苦しんでいたため、人々が彼女の癒しをイエスに懇願した。するとイエスは弟子たちを伴い、彼女の枕元に立ち熱を叱ると熱は去り、彼女はすぐに起き上がって一同をもてなした話である。(ルカ4.38?39)イエスは、弟子たちにこの行為を見せることで最初の教訓を教えられた。また周囲の人々が示した取り次ぎと奉仕の精神は、すべてのキリスト者への呼び掛けでもあると教皇は訴えた。

 申命記はモーセの遺言集であるが、モーセは民に最後の言葉として、「み言葉はあなたのごく近くにあり、あなたの口と心にあるのだから、それを行いなさい」(申命記30.14)と。そしてイエス・キリストの遺言は、「わたしを愛する人は、わたしの言葉を守る。わたしの父はその人を愛され、父とわたしとはその人のところに行き、一緒に住む」(ヨハネ14.23)と。こうしてイエスは最後の晩餐で弟子たちに命じます、「あなた方に新しい掟を与える。互いに愛し合いなさい。わたしがあなた方を愛したように、あなた方も互いに愛し合いなさい。互いに愛し合うならば、それによってあなた方がわたしの弟子であることを、皆が知るようになる。」(ヨハネ13.34?35)と。

 ルカ福音書の中で律法学者がイエスに、「永遠の生命を受けるにはどうすればよいか」と質問した時、イエスは旧約の律法を引用して神への愛と隣人愛の実行を彼らとともに確認した。すると律法学者はイエスに「隣人とは誰か」と問うたので、イエスは『善きサマリア人』の譬え(ルカ10.25?37)をもって説明された。エルサレムからエリコへ下って行く途中、追いはぎに襲われ、傷つき倒れていた同胞ユダヤ人に対する関わり方の違いである。神に仕える祭司やレビ人は、道の向こう側(神の思いとは反対)を通り過ぎたが、ユダヤ人と敵対関係にあったサマリア人は、彼を手厚く介抱してもてなした。そしてイエスは律法学者に問い掛けます、「どちらが真の隣人か」と。律法学者は、「介抱した人だ」と返事した。真の隣人とは、今あなたの救いを必要としている人のことであると常に意識したいものです。

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