ウィークリー・メッセージ 2021年12月12日

クリスマスの思い出

ロザイロ・ブラッドリー神父


 毎年この時期に入ると全世界がイエス・キリストがお生まれになったことを祝います。
 日本にいる私たちも寒い季節に入るとクリスマスを思い起こし、一つの祭りとして祝います。

 皆さんはどのようにクリスマスを迎えられますか?ある人は高いプレゼントを買って交換します。ある人はクリスマスケーキを作って家族と食べます。またある人はイルミネーションやクリスマスツリーを飾ります。一人一人にとってのクリスマスの祝い方があると思います。私にとってクリスマスはちょっとした親切をするときです。ここで私はクリスマスの思い出を皆さんと分かち合いたいと思います。

 私の国スリランカはその当時内戦が激しい時でした。和平交渉も行われていましたが、人々の生活はまだまだ落ち着いていませんでした。ある時大統領がスリランカの平和のために隣の国インドに助けを求めました。インド政府はその願いに答えて兵士を送ってきました。私の町トリンコマリーも戦争の被害を受けていたのでインドの兵士がたくさん駐留していました。夜間は外出が禁止されていました。時々停電もありました。こんな夜は街が真っ暗でテロリストが攻めやすいと思うととても怖かったです。

 こういう雰囲気の中で町の教会はクリスマスの徹夜ミサを迎えることになりました。キリストの誕生を祝うために遠くから1時間くらいかけて歩いてくる人もいました。でもこれはとても危険なことでした。それで教会の神父様は皆さんの安全を守るためにはどうしたらいいかと考え、インドの兵士に相談に行きました。指揮官は、“特別の夜です。ぜひ協力しましょう”と心を込めて答えました。夜間の外出がゆるされ無事に集まることができました。教会は喜びで満ちた人々であふれていました。気が付くとミサの間中大勢の兵士たちが教会を取り囲んで守ってくれていました。この兵士たちを通して私たちはキリストがこの世に来られた真の意味を味わい喜びを感じることができました。

 クリスマスの思い出はこれで終わったと思いますか。なかなか忘れられないもう一つの出来事があります。クリスマスの朝を迎えた私たちはケーキを焼いたり、新しいクリスマスの服を着て家族や親戚でお祝いします。しかし戦争の被害にあった人々にはクリスマスはまだ遠いのです。
 このことを感じた兵士たちは彼らを喜ばせようと教会の前にステージを作って周りを飾りました。そして食べるものがなくて困っている人々を呼び集めました。クリスマスプレゼントとしてお米や、野菜などの食べ物を配りました。これで少なくとも特別な日の今日はおなか一杯で幸せに過ごせます。この兵士たちの姿は大きな感動を与えました。町全体がこの話を聞き、クリスマスの本当の喜びを実践してくれた兵士たちに心から感謝しました。


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