ウィークリー・メッセージ 20177

 

マタイ4:1−11


中島町教会担当司祭  イルダラヤージ・アントニサミー

 

 “誘惑から逃れるときは行き先を知らせないように”

 マーティン・ ルター ・キングはアメリカの黒人の平等と自由のために闘った牧師です。

彼は1968年4月4日、銃によって暗殺されました。亡くなる前日にもこのように話していました。

「いくつかの困難を越えても、まだまだ困難は続くだろう。でも私は大丈夫です。なぜなら、すでに山の上に登っているからです。私もあなたたちと同じように長生きをしたいと思っています。

だからといって心配しているわけではありません。私はただ神の意思にいたいのです。神は私を山の上に連れて行かれました。山の上から約束された土地を見ました。

私はあなたたちと一緒に約束された土地に入ることはできません。あなたたちに今夜わかってほしいのは、あなたたち誰もが約束された土地に入ることができるということです。」

 今日の福音はイエスが悪魔から誘惑を受ける場面です。イスラエル人も荒れ野で誘惑を受けました。イエスは誘惑に勝ちましたが、イスラエルは負けてしまいました。誘惑は罪ではありません。イエスは神の力を試すように誘惑されました。40日間断食して祈り続けたら本当におなかが空くでしょう。イエスでも空腹に耐えかねて何でもいいから食べたかったと思います。

でも、石をパンに変えて食べることは父が望んでいたことでしょうか。どんなしるしもイエスは自分のためにはしていません。そこで、イエスは悪魔に「『人はパンだけで生きるものではない』と書いてある」とお答えになりました。

 また、イスラエル人も誘惑を受け、神にこう言いました。「我々はエジプトの国で、主の手にかかって、死んだほうがましだった。あの時は肉のたくさん入った鍋の前に座り、パンを腹いっぱい食べられたのに。あなたたちは我々をこの荒れ野に連れ出し、この全会衆を飢え死にさせようとしている」。(出エジプト16:3)神は彼らにマナを与えました。でも、彼らの信仰は弱いものです。イエスは神を信じました。イスラエル人は信じていませんでした。だから誘惑に負けてしまいました。

 世界を造ったのは神です。「この世界は私のもの」と言えるのは神だけです。それは、神と世界の栄光との選択の誘惑です。神に代わる存在はありません。
 悪魔は偽の父です。イエスに嘘をついています。この国々の一切の権力と繁栄とを自分のものだと言っています。神はただ一人です。「あなたは神である主を拝み、ただ主に仕えよ」とイエスは言いました。イスラエル人はいろいろな神を礼拝しました。 自分たちの都合に合わせて神を選んでいました。イエスは神に忠実に倣っています。

 三回目は、父である神は権力を持っているか、という誘惑です。神はイエスを守ってくださるでしょうか。イエスは二度もこういうことが聖書に書いてあると悪魔に言いましが、悪魔も聖書の言葉を言っています。悪魔も聖書を読んでいるのですね。「神はあなたのために天使たちに命じて、あなたをしっかり守らせる」と書いてあるのだから飛び降りるようにと、そそのかしています。しかも神殿の屋根からと言っています。神殿は聖なる場所です。悪魔はどこにでも行きますね。聖書を使っても神に対してサタンの心苦しい敵意、またすべての良さがいっぱいです。神の言葉は心から出てこないといけません。だから悪魔に「あなたの神である主を試してはならない」と言われました。
 父である神は力を使ってイエスを守ることができるか、という誘惑でした。神は神を信頼しているすべての人を守ってくださいます。
 いろいろな誘惑を乗り越えてきたからイエスは本当のイスラエルになりました。昔のイスラエルは主である神を信じませんでした。イエスは主である父を信じました。自分の意思は二の次にして神の意思を実現しました。それぞれの誘惑にイエスは勝ちました。イエスの勝利は我々の勝利です。

 皆さん、日々の生活の中の誘惑からどうやって乗り越えていますか。信仰はどうでしょうか。
 イエスは神の使命を果たし、最後にゲッセマネで祈っている間にも誘惑を感じました。でも、しっかり祈ってこう言いました。

「父よ、できることなら、この杯を私から過ぎ去らせてください。しかし、私の願どおりではなく、御心のままに」。(マタイ26:39)

イル神父

 

硫黄司祭の記事「年間第7主日」に行く カンバラ司祭の記事「2017四旬節第3主日」に行く>

ウィークリー・メッセージ目次に戻る

トップページに戻る